「2013年 第6回御坊組キッズサンガ」大盛会

「キッズサンガ」とは、「お寺を子どもの居場所に」するため、「お寺が子供たちのためにできること」を提供し、子どもたちや青少年の育成のために、お寺を中心として、阿弥陀さまのおこころを伝えていく取り組みと定義されます。 今、全国の本願寺派の多くの寺、組で広く取り組まれ、子どもたちをお寺に引きつけています。 御坊組のキッズサンガは年一度の開催で今年は6回目、年々充実した取り組みとなっています。今年は、さる8月21日、日高別院に幼児から中学生まで140名の子どもたちが集まって開催されました。

■開会式と雅楽ミニライブ
午後1時30分の開会時には広い別院の本堂が子ども達と保護者で一杯になりました。司会はこの集いの企画運営一切を担って下さった善妙寺住職木下眞人さんが勤めて下さいました。 まず全員が大きな声で「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と声を揃え阿弥陀さまにご挨拶、その後のお勤めは真宗宗歌、みんな大きな声で歌えました。次に組長の私が短い(?)法話。 開会行事に続き、雅楽のメンバー(安養寺住職の佐々木俊紀さん、専福寺住職の清水光宣さん、岩崎敏也さん、荻野益次さん、杉本卓治さん)による雅楽のミニライブ、子どもたちは初めて見る楽器に目をパチクリ、不思議な音色に驚きました。


■4つのステージめぐり
参加者134名は12の班に分かれ、組内の住職さんや坊守さん、ボランテイアのお母さんが班長さんになり、班ごとに4つのステージを回りました。
私が引率した「さる」の班はまず、「いちょうの森ステージ」で50cmくらいの虹色に光るプラスチック棒を手のひらに立たせる「バランス・バランスゲーム」にチャレンジ、中学年以上の小学生は上手くできるが幼児にはちょっと難しい。
次に、空ペットボトルへの「割り箸ダーツ」に挑戦、簡単そうで意外と難しい。しかし、背が低い方がしやすいので幼児が大いに楽しめる。
次は「いれてねっと」点数が違う捕虫網が前に用意され、そこに向かって、小さなアヒルの形をした10個の”ボール”を投げ入れます。近くの網は入りやすいが低得点、遠くは中々入らないので高得点、高学年生は遠くの網をめがけて一発逆転を狙います。幼児の保護者も子どもに遠くを狙えと余計なアドバイス、みんな外れてその子は半泣きに。以上の3コーナーは得点が記録され、後で優秀者には商品が出ました。
「シャボン玉で遊ぼう」では日頃、家庭ではできないような、ジャンボシャボン玉や餅網や団扇の骨、フライ返し等日用雑貨を使った変わりシャボン玉を楽しみました。善妙寺の坊守さまが粘りのある石けん液を工夫して下さっていましたので、とても壊れにくいシャボン玉をつくることができました。
さらに「あまのじゃくステージ」(山門扉)ではお釈迦さまのおられた時代のインドの風景画に4種の動物9頭が隠された絵と、親鸞聖人がおられた鎌倉時代の風景の中に、5種の動物が隠されている絵が掲示され、それを見破る趣向でした。これは学齢にかかわらず楽しめます。幼児が見つけた動物のいくつかは私はさっぱり気づきませんでした。
次に向拜で、子ども達は仏教婦人会の方々が用意して下さった「チューペット」をもらい、本堂(あみださまのお家ステージ)へ。「雅楽でイントロドン」という催しに参加。雅楽のメンバーが子どもたちに馴染みの童謡やテレビ・映画アニメの主題歌のイントロを雅楽器で演奏。みんなよく知っています。あっという間に正解が出ました。一番の高得点者が班の代表となりました。
いよいよ、集いのメーンイベント、「工作の館ステージ」での風鈴づくりです。あまりに参加者が多く、会場のみどう会館は人が溢れています。空いた席を探し、一人一個づつ透明ガラスの風鈴をもらい、そこへアクリル絵の具で絵付けをします。寺族婦人会の方々が懇切丁寧に指導して下さいますので心配ありません。全員が個性溢れる作品を完成させました。これが子どもが作ったものかと驚くような作品ももいっぱいあります。完成後、全作品140個は本堂の縁先に懸けられ、そこを吹き抜ける風が心地よく鈴を鳴らしてくれました。


■イントロドン決勝戦、ビンゴ大会
全班がすべてのステージを巡った後、全員が本堂に再集合、イントロドンの決勝です。各班から代表者が前に出て、さあ決戦。3曲目からは、「ウッキーさん」(西教寺住職の浮津真学さん)のエレキギターが加わり、どんどん盛り上がります。少々難しい曲でも、本堂に可愛い「ハイ、ハイ、ハイ」の声が響き、大歓声の中、優勝者が決定。優勝者を出した班全員には寺婦の方々が製作して下さったミサンガが贈られました。次にチャレンジコーナーの優勝者を表彰、手作りのレイがプレゼントされました。 いよいよ、最後は全員参加の大ビンゴ大会。景品を覆っていたカバーがはずされ、目の前に子どもたちにとってはお宝の山が出現。ビンゴの司会は天性寺の津本芳生住職、元気で愉快なトークで場を盛り上げてゆきます。次々にリーチが出て、ビンゴが完成します。景品は早い者勝ち、みんな真剣です。まだかな、まだかな、次は○○来い!と大興奮のうちに進んでいきました。約30分位かかりましたか、全員に景品が当たり終了。 終わりは全員で恩徳讃を唱和。大きな声で称名して、予定通り5時に終了、全員、マイ風鈴をお土産に別院を笑顔で後にしました。

■今年のキッズサンガを振り返って
今年度のキッズサンガは昨年に増して、多くの参加者を得ることが出来ました。組内殆どの寺院から参加して下さいました。寺院方のご支援、御協力有り難うございました。今年は組がホームページを開いて初めてのキッズサンガでしたが、それを見て、参加申し込みをして下さった方やスタッフとして応募して下さった方がおられたことはまことに嬉しいことでした。 このキッズサンガに取り組む上で、組の総代会、仏婦の方々には本当にお世話になりました。前日の準備から当日の実行スタッフとしてこの集いを支えていただきました。総代会の役員方はテント設営、チャレンジコーナーの運営を一手に引き受けて下さいました。仏婦の方々には会場の清掃・設営の他、熱中症予防のため、冷茶の準備もぬかりなく行っていただきました。寺婦の方々には、何ヶ月も前から準備を重ねて本番に備えていただきました。ご多用のところ本当に有り難うございました。 宗門長期振興計画に関して、御門主様は「子どもたちとともに」と題する「ごあいさつ」の中で次のように述べられています。 このたび、の重点項目として、<次代を担う「人」の育成>が挙げられ、青少年教化に取り組むため、「全寺院『子どものつどい』-キッズサンガ-」が推進されることとなりました。 キッズサンガのめざす「お寺を子どもの居場所に」とは、単に「お寺を子どもたちの遊び場に」ということではなく「子どもたちが阿弥陀如来の願いの中に心をひらき安らいでいける場。また、その子どもたちとともにすべての人びとの居場所となれるお寺に」という願いが込められていると思います。 今、急激な社会の変化のなかで、一人ひとりのいのちの根本が揺らいでいるように思います。そのような現代社会にあって、子どもたちを護りはぐくむべき大人自身が余裕を失い、子どものいのちが脅かされていることに、危惧の念を抱かざるを得ません。 子どもたちに寄り添うキッズサンガの取り組みを全国のお寺で展開し、お寺を構成する門信徒・僧侶が、地域社会との交流も含め、人びとの悩みや思いを受け止め、互いに支え合う取り組みをすすめることで、ともにいのちかがやく世界へとすすんでいくことを期待します。 このキッズサンガ推進は宗門が昨年度から進める「御同朋の社会をめざす運動(実践運動)」の御坊組が組をあげて取り組むべき「実践目標」としています。組の行事のうちでも最も多くの方々が集う催しです。子どもに引かれて母親や祖父母が日高別院にお参り下さいます。 御門主様のお言葉に照らしますと、私たち御坊組のキッズサンガはまだまだ不十分なものです。さらに、みなさまの智慧と力を頂いて、「子どもたちが阿弥陀如来の願いの中に心をひらき安らいでいける場。また、その子どもたちとともにすべての人びとの居場所となれるお寺に」を目指して行きたいと思います。そして、今まだ組全体でしか行えていませんが、今後、各寺ごとに行えるよう支援してゆきたいと思います。 子どもたち、保護者、スタッフのみなさま、酷暑の中、ようこそ御参加下さいました。本当に有り難うございました。加えて、このホームページのご意見コーナーに今年のキッズサンガについての感想と叱咤激励の声をお寄せ頂ければまことに嬉しいことです。それを糧にこれからも大事に取り組んで参りたいと思います。今後ともどうか宜しくお願いいたします。

御坊組組長
湯川逸紀(三宝寺住職)


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