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花灯明を拝観して


 25代専如ご門主様の伝灯奉告法要円成前日の5月30日、シャーンティ(御坊組坊守有志による勉強会の名称)の総勢6名が西本願寺花灯明を拝観してきました。実は私はこれが2度目、最初は5月16日住職と拝観してきたのですがあまりの見事さ故、シャーンティの勉強会を花灯明拝観の旅に変えましょうと提案し、実行されたのです。
 この「花灯明」というのは上記伝灯奉告法要を機縁にし、宗派の別なく、誰もが本山で手をあわす機会を作り、併せて熊本地震復興支援になればと伝灯奉告法要協賛行事として4月から始められた行事です。当初は参加者もまばらであったようですが時を経、マスコミにも大きく取り上げられた為か人気も沸騰。この日も明日で開催終了ということでしたので、平日にもかかわらず大変な賑わいで、外国の方々も多く見受けられました。

 天性寺様が並んでゲットして下さった整理券を片手に、日頃は開門しない大玄関門から入り、ライトアップされた唐門、書院、飛雲閣、竹あかりを見学していきます。いつもの見慣れた西本願寺とは全く異なり、唐門は雄大・荘厳な上に煌びやかさを纏い、威風堂々凄い重厚感で私たちを迎えてくれました。

 その後順路に従い書院へと流れは続きます。
 書院は写真撮影が禁止され残念なことでしたが、襖絵の何と眩いこと。あの古色蒼然とした襖絵が燦然と輝きを放ち、何百年も前の建築当初の趣は斯くありきと思えたことでした。欄間は陰影深く、書院がこれほどまでに 絢爛豪華であったとは!人様から見た私はきっと口あんぐり恍惚の老婆であったことでしょう。その余韻に浸る間もなく虎渓の庭が目に飛び込んできました。ここに至っては、私の知る虎渓の庭とはまるで違うお庭を拝見しているかのようで、奥行き深く、目をやる先にはライトアップされた御影堂の大屋根が浮かび上がり、唯々見事としか言いようがありません。枯山水の虎渓の庭に光が充ち満ちて、お浄土もこんな様子なのかしらと思ったことでした。
 そして、そしてついに飛雲閣の拝観です。
 大勢の人々が写真撮影に興じてらっしゃいます。この世の物とは思えない飛雲閣をどうにか写し取りたいと思う気持ちは皆同じのようです。でも出来上がった写真を見ると、とてもこの時の幽玄さを写し撮れていないと思うことです。脳裏に残った残影が消えないようにと願っているのですが・・・・











 飛雲閣の出口では鐘楼が少しはにかんだ様なライトを浴びて私たちを見送ってくれていました。

 飛雲閣を出ればそこはお白州です。ここには「竹あかり」という、熊本の竹を使った繊細な彫刻アートの竹花灯明がそこかしこに設置されていました。これを演出したのは熊本の三城さんという方で熊本地震や東日本大震災の復興イベントもされているのだとか。渾身の作品ということが伝わってくる素晴らしい竹あかりでした。
 幾多の困難に遭われた方々の希望の光のようにも感じられたことです。


 大銀杏は御影堂の光にも照らされ、存在感をいやましていました。
 私も阿弥陀様のみ光に包まれていることを今更ながら感じさせていただいた花灯明の拝観でした。そして、今回2度にも亘って素晴らしいご勝縁にあわせて頂く機会を得ましたこと、全てが阿弥陀様のおはからいであると思うと同時に私を支えて下さっている方々のお力があってのこそと感謝するばかりです。いつかこのご恩を送っていかねばとも思うことでした。
 つたない文章では今回のご本山での感激はなかなかお伝えし切れないことで申し訳ないことです。本山へのお参りはいつも心に温かいものを頂いて参ります。皆様も機会があれば本山へお参り頂ければと思います。そして皆様のおてつぎ寺である私共も、皆様にとってほっこり温もりある寺であるべく歩みを進めていかねばと思うことです。



                          三宝寺 坊守   湯川謹子  
            


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