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カンボジア仏教遺跡を訪ねる旅




 12月5日から3泊5日の日程でカンボジアを訪問してきました。
 カンボジアと言えば誰もが思い起こすのがアンコール・ワットとポルポト政権でしょうか。そのポルポト政権が大量殺戮を起こした記憶がまだ残る私の頭(ポルポト政権崩壊したのが20数年前)でしたので些か入国するには不安があったのですが、世界遺産のアンコール・ワットを是非拝見したく、また旅行会社のとっても上手な宣伝にまんまと乗せられお友達と行くことになったのでした。でも行ってみると観光地は世界各国の人でごった返し、先に抱いた国情の不安は全く感じとれず楽しい旅となりました。けれど、現地ガイドさんによると「観光地から離れた所にはまだ地雷が埋まっているのですよ。」ということで、完全な平和はまだまだ先なのだわと思ったことでした。

 今回のカンボジア訪問はシェムリアップ(カンボジアの北西部分)という地域限定で、そこにアンコール・ワットはあるのでした。でも最初に訪れたのはアンコール・トムというところ。アンコールとは「都」を意味し、トムは「大きい」を意味するとガイドさんに教えて頂きましたが、このアンコール・トムはとっても広い遺跡で(勿論世界遺産)一辺3kmの正方形の広さがあるとのことでした。(アンコール・ワットのほぼ4倍。因みにワットの意味は寺院です。)入り口は5カ所あるのですが、私達はほとんどの人がここから入るという南大門から歩いて入りました。南大門の入り口にたどり着くまでには沢山の阿修羅像と蛇神が並び待ち受けてくれていました。@

 歩いて南大門Aをくぐるとじっとり汗ばんできます。気温は30℃を優にこえ、体感湿度は90%を超えているような暑さ!ここからずっと歩くの〜と思う間もなく、お出迎えのバスがやってきてくれました。冷房ガンガンの車内に入りホッと一息。目指すはアンコール・トム内のバイヨン寺院です。

 ここにはそれはそれは立派な観世音菩薩様Bがあちこちから私達を見下ろして下さってました。





 このアンコール・トム遺跡は風化や戦争等々で痛みも激しく日本の支援で復旧工事が行われているとの説明があり、ちょっぴり誇らしくも思ったのでした。C



 またここには象のテラスDやライ王のテラスEと言われている所もありました。
     

 次に訪れたのがタ・プロームという樹齢300〜400年のガジュマルと遺跡が一体化したところ。F
 自然が作り出した摩訶不思議な造形には畏怖と同時に崇高さをも感じたことでした。しかし、ここの観光客の多かったこと!人種のるつぼにはまったようでした。G
     

 またここでは可愛い仏様(思わずニッコリ)にも出会えました。H今回お会いした仏様の中で一番忘れがたい仏様です。





 この日は沈みゆく夕日をプレループ遺跡で鑑賞し第一日目を終えたのでした。I (ここは死者を荼毘に付した所とも言われており、夕日には哀惜の色合いが濃く見えたような?)





 二日目は何と!早朝5時出発でアンコール・ワットの朝日鑑賞からスタートです。J 朝日を待ちに待ちもう少しで拝めるという所でタイムアウト!K次の所へ移動です。
     

 しかしそのお次にきたのがこんな物があるところL空からアンコール・ワットを見てみようという趣向です。いささかへっぴり腰で乗り込むも意外と広く、見渡せば至る所平原で山らしきものが余り無いのには驚きました。カンボジアは平原の国だということが一目瞭然でした。
 しかし、肝心のアンコール・ワットが煙に霞み幽玄の中。さてこの写真でワットがどこか分って頂けるでしょうか?M(真ん中の尖っている部分)










 お空から地上に降りるとバイキング形式の朝ご飯。カンボジアでの食事はどれも美味しく、中でもフォーは大のお気に入りとなりました。N

 お腹も満腹となり、いざいざ行かん、ロリュオス遺跡群の観光へ。でもでもその前にこんな乗り物に乗ったのです。O
あばら骨が見えるかのような牛さんに不安感一杯で乗せて貰い、動物虐待ではないかと心配したことでした。カンボジアの牛肉はとても歯が立たないほどの固さとか。とってもとっても働き者の牛さん達でした。罪悪感一杯の体験はもうすることもないでしょう。
 この後は孤児院での牛皮細工の体験。カンボジアはまだまだ貧しい国で学校は2部制とか。朝学校に行った子は午後はお土産売り。朝働いた子は午後から学校へ行くのだそうです。働き者の子供達が私達に「3枚千円」と日本語で言いながらついてきます。皆さん何らかの品物を買うことになったような。。。戦後すぐの日本にもこの様な光景があったのでしょうか。カンボジアのGNPが上がり、国力を付けて欲しいと切願します。頑張れカンボジアの子供達!!
 この国の不条理を嘆きながらもカンボジア式寺院参拝体験もしてきました。現地ガイドさんが心込めてお参りされていたのがとても印象的でした。汗だくになりながらの観光は途中お昼寝つきの昼休憩をたっぷり取るという今までに無い観光形態でしたが、暑い国の観光にはこのようにしないととても回れません。

 お昼寝もし、汗も収まり今回のメイン、世界三大仏教遺跡(世界三大仏教遺跡とはミャンマーの『バカン遺跡』・カンボジアの『アンコール・ワット』・インドネシアの『ボルブドール遺跡』ですが、残念ながら、『バカン遺跡』は世界遺産には登録されていません。[世界遺産オンラインガイドより])の一つであるアンコール・ワットへ向かいました。水の上に浮かんだ浮遊感たっぷりの特性の橋を渡っての参拝です。迷路のような回廊を案内されながら進んでいきましたが、途中に今なお参拝されている仏様も有り、ここはヒンドゥー教寺院でありながらも仏教寺院の性格を併せ持つ場所となってることがよく分りました。P

 回廊には物語があるレリーフが一面にあり、サンスクリット語が彫り込まれた柱も多数有りました。Q
 このサンスクリット語はシャーンティやビハーラで馴染みが深い言葉です。



 この日の最後は鏡池での記念撮影で締めくくられました。R
 ガイドさんによるとヒンドゥー教寺院はパイナップル状突起の屋根が特徴だとかで、アンコール・ワットがその最たる物のようです。



 最終日は緻密な彫刻が印象深いバンテアイ・スレイの訪問です。バンテアイは砦、スレイは女で、「女の砦」を意味しているそうです。ここもヒンドゥー教寺院で、赤い砂岩が特徴のようです。
 またここにはアンコール美術の至宝」と賞賛されている彫像がたくさんあり、中でもは「東洋のモナリザ」とも呼ばれているデヴァターの像Sは殊に有名なようでした。






 今回旅をして、数名の僧侶にしか出会えなかったのは残念だったのですが、さすが仏教国です。ホテルマンもウーマンも至る所で皆様合掌して下さいます。そして合掌して下さるお顔が皆優しく慈愛溢れているようにお見受けしました。合掌は人のこころ穏やかにし笑顔にするのだと再認識したことです。
 京都女子大学創設者のお一人でもいらっしゃる甲斐和里子さんがお歌に「み仏の み名を称ふる我が声は 我が声ながら たふとかりけり」と詠まれています。私も南無阿弥陀仏を称えながら心からの合掌をさせて頂こうと思ったことでした。


                             合掌


                          三宝寺 坊守   湯川謹子



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